
会社で保存しなければならない書類は数多く存在し、その中には重要な情報が詰まっています。しかし、書類が増えるにつれて管理が煩雑になり、どの書類をどれだけの期間保存すべきか迷ってしまうこともあるでしょう。ここでは、重要な書類の保存期間について説明し、適切な管理方法について紹介します。
目次
書類の「保管」と「保存」の違い
会社で扱う書類の保存期間の重要性を知る前に、「書類の保管」と「書類の保存」の違いについて確認しておきましょう。
「書類の保管」と「書類の保存」は、似ているようで異なる意味を持つ言葉です。
「書類の保管」
「書類の保管」とは、使用頻度が低く、重要性が低い書類や記録を一時的に保管することを指します。一般的な例として、過去のプロジェクトの文書、過去の請求書、アーカイブされた情報などです。これらの書類は、日常の業務には必要なく、スペースを取るためにオフィスから一時的に移動されても問題ありません。
「書類の保存」
「書類の保存」は、重要な文書や記録を長期間保存し、必要な場合にアクセスできるようにすることを指します。保存する書類は、法的な文書、契約書、財務記録、税務関連の書類、会社の文書、個人の重要な書類などが含まれます。保存される書類は、必要に応じて分類・整理され、適切な方法で保管する必要があります。なお、最近ではデジタル形式での保存も一般的です。
要約すると、「書類の保管」は使用頻度の低い書類を一時的に保管することを意味し、「書類の保存」は重要な書類や記録を長期間保管し、アクセス可能にすることを意味します。
書類の保存期間の重要性
会社で扱う書類には、法律によって一定期間保存することが義務付けられているものがあります。書類の保存期間を知ることは、適切な情報管理と法律順守に欠かせません。
なぜ文書保存期間が重要なのか
文書の保存期間を理解し遵守することが重要な理由は以下の通りです。
法律順守
法律により定められた期間内に保管する必要がある文書が多くあります。適切な期間保管しないと、罰則や法的トラブルに繋がることがあります。
情報整理
保存期間を把握することで、過去のデータや書類を効率的に整理できます。無駄なスペースを減らし、情報アクセスが容易になります。
証拠保全
万が一の紛争やトラブル発生時に、適切な期間保管されている書類は証拠として利用できます。適切な保管が問題解決に繋がります。
財務管理
法定保管期間内の会計書類や税務関連の書類は、税務調査や監査時に必要となります。正確な保存期間の把握が円滑な財務管理に役立ちます。
個人情報保護
個人情報を含む書類の取り扱いには特に注意が必要です。適切な保存期間を守ることで、情報漏洩リスクを最小限に抑えることができます。
保存期間の法的な基準
会社や組織が保有する書類や記録などの文書資料を、法律で定められた一定期間保存することが義務付けられている基準に関して、以下で説明していきます。
■保存期間の法的な基準は法律によって異なり、会計帳簿や納税関係の文書は、国税徴収法に基づき10年間保存する必要があります。
■保存期間の違反は法的な罰則が課せられる場合があり、情報漏洩や訴訟などにもつながるため、会社や組織にとって重要な問題となります。
■保存期間が過ぎた文書は適切な方法で廃棄する必要があり、個人情報保護法に基づき、個人情報が含まれる文書はシュレッダーにかけるなどして破棄する必要があります。
■保存期間を遵守するために、会社や組織は適切な文書管理システムを導入する必要があります。これには、文書の分類や保存場所の指定、保管期間の管理、廃棄時の処理などが含まれます。
法定保存文書の保存期間と対象書類

法律で保存が義務付けられている書類には、以下のようなものがあります。
永久保存する書類
永久保存の書類は、社会的・歴史的価値が高いと認められた文書や記録であり、永久的な保存が求められます。
- 定款
- 株主名簿・新株予約権原簿・端株原簿・社債原簿・株券喪失登録簿
- 登記・訴訟関係書類
- 官公署への提出書類、および官公署からの重要書類
- 社規・社則に関する通達文書
- 効力が永続する契約にまつわる文書
- 権利や財産に関する書類
- 製品の開発・設計に関する重要文書
- 労働組合との協定書
など
10年間保存する書類
10年間保存する必要がある書類には、以下のようなものがあります。
- 株主総会議事録
- 取締役会議事録
- 重要会議記録
- 決算書
- 貸借対照表・損益計算書などの計算書類や附属明細書
- 総勘定元帳・各種補助簿などの会計帳簿や事業に関する重要書類
など
7年間保存する書類
7年間保存する必要がある書類には、以下のようなものがあります。
- 仕訳帳・現金出納帳など取引に関する帳簿
- 貸借対照表・損益計算書など決算に関連して作成された書類
- 領収書・預金通帳など現金収受や預貯金の取引で作成された書類
- 請求書・契約書・見積書など取引証憑書類
- 扶養控除等(異動)申告書
- 源泉徴収簿
など
5年間保存する書類
5年間保存する必要がある書類には、以下のようなものがあります。
- 事業報告
- 有価証券届出書・有価証券報告書などの関連書類
- 契約期限のある覚書・念書・協定書
- 産業廃棄物管理票
- 従業員の身元保証書・契約書など
- 監査報告書
- 会計監査報告書
など
3年間保存する書類
3年間保存する必要がある書類には、以下のようなものがあります。
- 四半期報告書
- 半期報告書
- 労働者名簿
- 雇入れ・解雇・退職に関する書類
- 災害補償に関する書類
など
2年間保存する書類
2年間保存する必要がある書類には、以下のようなものがあります。
- 健康保険・厚生年金保険に関する書類
- 雇用保険に関する書類
など
1年間保存する書類
1年間保存する必要がある書類には、以下のようなものがあります。
- 臨時報告書
- 自己株券買付状況報告書
など
効果的な文書管理方法

法定文書は適切な方法で管理する必要があります。書類の整理や電子管理について確認しましょう。
文書の整理と分類をする
書類の種類や重要度、保存期間などに応じて、適切な整理と分類を行います。保存書類は容易に検索できるようにすることが重要なため、取引年月日・取引先名・書類の種類ごとに分類する必要があります。
また、定期的な見直しを行い、新しい書類の追加や不要な書類の廃棄を行うことが効果的です。
デジタル化と電子管理の活用をする
デジタルデータは紙媒体と比較してスペースを占有せず、情報の共有や検索が容易になるというメリットがあります。電子管理システムを導入することで、書類の紛失や破損などのリスクが低減され、必要な情報をすばやく見つけることができます。
また、デジタル化と電子管理には、コスト削減や業務効率化、環境負荷の削減などのメリットがあります。
オフィスのスペース確保にトランクルームを活用
会社で扱う書類には、法律で保存が義務付けられているものが多くあるため、保存場所の確保や管理に労力がかかります。最近では、文書の電子保存も一般的になっているため、電子データの保存サービスなどを利用して、社内の手間を軽減するのも有効な手段です。
また、すぐに必要のない書類や備品でオフィスのスペースが埋まっていて、重要な書類を保管するスペースがない…という場合は、トランクルームを活用するのも一つの方法です。
オフィスで場所をとっている什器や商品在庫など、使用頻度の低い物をトランクルームに預けることで、重要な書類を保管するスペースやワークスペースを確保することができます。
トランクルームにはさまざまなサイズがあり、必要な期間だけレンタルすることができるため、自社に必要な分だけをまずは気軽に利用してみてはいかがでしょうか。