
庭に設置する物置は、普段使わないものの収納に加え、ガーデニング用品や季節の道具を整理することもできる便利な収納庫です。小型から大型まで商品はさまざまですが、見た目やサイズだけで決めてしまうと使い勝手が悪く、後悔してしまうかもしれません。
家の収納を左右する物置だからこそ、選び方のポイントをおさえておくことが大切です。安心して使い続けられる物置を選ぶために、購入する前のチェックポイントと収納の工夫を紹介します。
目次
物置を設置する前のチェックポイント
せっかくの物置も、設置してから「失敗した」と思うのは避けたいところです。そのために、事前に確認しておくべきポイントをまとめました。
購入する目的を明確にする
まず、なぜ庭に物置を購入するのか目的をはっきりさせましょう。物置に何を収納するかによって、必要なサイズや物置の仕様が変わるからです。
たとえば、アウトドア用品や自転車など大きなものを収納したいなら高さや奥行きのあるタイプが必要になります。一方で、ガーデニング道具や掃除用具のように小物が中心であれば、棚板のついた小型タイプのほうが使いやすいでしょう。
目的があいまいなまま選んでしまうと、「思ったより入らなかった」「逆に大きすぎて庭のスペースを圧迫した」など後悔につながります。 購入前に「何をどれくらい収納したいのか」を具体的にイメージすることが、失敗しない物置選びの第一歩です。
設置場所
物置を庭のどこに設置するかを事前に決めることも大切です。扉を閉め切った状態で使うことが多いため、湿気や日差しの影響を受けやすいのためです。
たとえば、地面の水はけが悪い場所や建物の影で風通しが悪い場所に設置すると、内部に湿気がこもりやすくなり、収納した物がカビたりサビたりする原因になります。逆に、直射日光が一日中当たる場所では、庫内の温度が上がって劣化を早めるリスクがあります。
そのため、できるだけ通気性がよく、日当たりも極端に偏らない場所を選ぶことがポイントです。設置場所を慎重に選ぶことで、収納するアイテムを長持ちさせられます。
設置方法
どうやって物置を設置するかも、事前に考えておきたいポイントです。設置方法は大きく分けて、自分で組み立てる方法と、業者に依頼する方法の2つがあります。
自分で設置する場合はコストを抑えられるメリットがありますが、水平を取る作業や固定作業には手間と労力がかかります。特に大型の物置は一人での設置が難しいため、家族や知人の協力が必要です。
一方で業者に依頼すれば、設置が正確で安心なうえ、転倒防止など安全面も確実です。費用はかかりますが、長期的に安定して使いたい人や、大型の物置を設置したい人には向いています。
予算
物置の設置にどれくらいの予算をかけられるのかも、事前に検討しておきましょう。一般的に小型であれば3万〜5万円程度、中型〜大型の物置は8万〜20万円程度の価格が相場です。
物置の設置には、本体以外にも別途費用がかかる場合があります。組立て工事だけでなく、基礎工事、転倒防止工事など、購入する物置の大きさやタイプによっても必要な工事は異なるため、見積もりの確認が必要です。
また、通販で物置を購入する際は、送料や荷下ろしなどの費用について確認しておきましょう。見積もりを依頼できる場合は必ず提示してもらい、どこまでがサービスに含まれているかを把握することが大切です。
庭に設置する物置の選び方ガイド

庭に置く物置にはさまざまなタイプがあり、用途や庭の環境によって最適なものは変わります。どの商品を選べばよいか迷わないために、サイズや扉の種類、素材など選ぶ際の基準を順に解説します。
サイズ
物置を選ぶときは、収納する物の大きさや量に合わせてサイズを検討しましょう。まずは収納予定のアイテムをリストアップし、一番大きな物の高さ・幅・奥行きを測るのが基本です。(例:スタッキングできないキャンプ用クーラーボックス、自転車、タイヤなど)
- 高さ:荷物の一番高い部分を測り、+10cm以上の余裕をもたせる
- 奥行き:荷物の奥行きを測り、+10〜20cmあると出し入れがスムーズ
- 幅:収納物を横に並べて合計幅を出し、棚をつけたい場合はその分の余裕も考える
さらに、設置スペースでは物置の外寸だけでなく、扉の開閉スペースや人が立って作業できる通路を確保することが大切です。扉のタイプによって必要なスペースも変わるため、観音開きなら前方に広めの余裕を、スライド扉なら横方向のスペースを意識しましょう。
扉のタイプ
扉の種類によって、物置の使い勝手は大きく変わります。設置スペースや出し入れのしやすさを考えて、最適なタイプを選びましょう。
扉のタイプ | 特徴 |
---|---|
観音開き | ・扉が左右に全開するタイプ ・大きなアイテムも出し入れしやすい ・物置の前面に扉を開閉するためのスペースが必要 |
引き戸タイプ | ・左右どちらにも開く引き戸タイプ ・2枚引き戸、3枚引き戸の2種類がある ・狭い場所でも設置可能 ・ドアを全開にする場合は開口サイズに要注意 |
片引き込み式2枚扉タイプ | ・設置時に左右どちらに開くか選択できるタイプ ・中型から大型の物置に多い |
シャッタータイプ | ・シャッター式で上から下まで開閉できるタイプ ・開口部分を全開でき、かつ開閉スペースも少なくて済む ・狭い場所でも設置しやすいが、開閉時の音が響くため注意 |
上ぶたタイプ | ・物置の上部分または全面を全開できるタイプ ・物置の高さが限定的 |
メーカーによっては、取り扱っている扉のタイプが異なる場合もあるので、事前にしっかりと確認してください。
素材
屋外に設置する物置は、雨や風、直射日光などの影響を受けるため、素材選びがとても重要です。金属製・木製・樹脂(プラスチック)製と大きく3種類あり、それぞれ耐久性や見た目、価格に違いがあります。
庭の環境や収納したい物に合わせて選ぶことで、長く快適に使うことができます。以下に素材ごとの特徴をまとめましたので、購入時の参考にしてください。
金属製 | 木製 | プラスチック製 | |
---|---|---|---|
特徴 | ・強度や耐久性、耐候性に優れる | ・デザイン性が高い ・自然な風合いが魅力 | ・軽くて扱いやすい ・水に強くて錆びにくい |
主な素材 | ・スチール ・ステンレス ・ガルバリウム鋼板など | ・杉 ・檜 ・ウッドデッキ材など | ・ポリプロピレン ・ポリエチレン |
メリット | ・長期間使える ・メンテナンスしやすい | ・デザインが豊富 ・温かい雰囲気 | ・安くて軽い ・錆びにくい |
デメリット | ・熱を受けやすい ・デザインのバリエーションが少ない | ・腐食や劣化、虫害などのダメージを受けやすい ・定期的なメンテナンスが必須 | ・紫外線や風雨に弱い商品がある ・耐久性が低い |
耐久性(耐候性)
屋外に設置する物置は、日光や雨風にさらされ続けるため、耐久性の高さが重要です。購入後は長期間使うものだからこそ、劣化しにくく丈夫な素材を選ぶことがポイントになります。
特に金属製(スチール)の物置は、風雨や紫外線に強く、耐久性を重視したい方におすすめです。外壁だけでなく、扉のレールや金具といった内側のパーツにもスチールが使われていると、錆びによる開閉のしづらさを防げます。
また、雪が多い地域には積雪に耐えられる耐雪型、暑さが厳しい地域には断熱材入りタイプなど、気候に合わせた仕様を選ぶと安心です。庭の環境や地域性に合った物置を選ぶことで、長く快適に使い続けることができます。
セキュリティ対策
庭に設置する物置は、屋外にある分イタズラや盗難のリスクもあるため、セキュリティ対策を意識して選びましょう。最低限、鍵付きタイプ、または南京錠を取り付けられる仕様を選ぶことが基本です。
さらに安心したい場合は、施錠しているかひと目で確認できる表示付きタイプや、扉を閉めるだけで仮ロックできるタイプがおすすめです。荷物の出し入れが多い家庭でも使いやすく、防犯性を高めつつ手間も省けます。
特に子どものイタズラを防ぎたい場合や、高価な工具やアウトドア用品を保管する場合には、防犯性能を重視した物置を選ぶと安心です。
庭の物置を使いやすくする収納のコツ

せっかく庭に物置を置いても、中がごちゃごちゃしていては使いづらくなってしまいます。ちょっとした工夫で収納力も使い勝手もぐんと上がるので、ここでは物置をすっきり活用するためのコツを紹介します。
重い荷物は一番下に置く
物置に荷物を収納するときは、重いものを一番下に置くのが基本です。
タイヤや園芸用の土袋、工具箱など重量のあるものを上に積んでしまうと、下の荷物がつぶれて形が崩れたり、出し入れの際に落下して危険です。床面に近い場所にまとめておけば安定感が増し、取り出すときも安全に扱えます。
スペースに余裕を持って収納する
物置は収納力がある一方で、詰め込みすぎると使いにくくなります。荷物と荷物の間に少し隙間を空け、通路や手前にスペースを残しておくことで、必要なものをすぐに取り出せるようになります。
また、余裕を持たせることで風通しもよくなり、湿気対策にもつながります。「入るだけ詰め込む」より「7割収納」を意識すると快適に使えます。
棚や仕切りを活用する
物置の内部に棚や仕切りを追加すると、収納効率がぐっと上がります。
細かい工具や園芸用品は棚に並べることで探しやすくなり、縦の空間を活用できるのもメリットです。市販のスチールラックを置いたり、ケースごとに仕切って収納すると整理整頓しやすくなります。
透明の収納ボックスやラベルを組み合わせれば、中身が一目でわかって管理もしやすいでしょう。
使用頻度に応じて配置する
よく使うものは出し入れしやすい手前や中段に、使用頻度が低いものは奥や下段に収納するのがポイントです。
例えば、季節ごとのアウトドア用品やスタッドレスタイヤは奥に、ガーデニング道具や掃除用具など日常的に使うものは入口付近に置くと効率的です。
配置にメリハリをつけることで、物置全体をスムーズに使いこなせます。
庭の物置で収納を快適に
庭に物置を設置すれば、ガーデニング用品やアウトドア用品などをすっきり整理でき、家の中の収納スペースにもゆとりが生まれます。
ただし、物置は湿気や温度変化の影響を受けやすいため、精密機器や紙類、衣類などの保管には不向きです。さらに、荷物が増えていくと物置だけでは収まりきらないこともあります。
そんなときは、トランクルームを活用するのもひとつの方法です。屋外用の物置には庭仕事やレジャー用品を、空調管理された屋内型トランクルームにはデリケートなものを収納するなど、役割を分けて使えば効率的に暮らしの快適さを保ちながら、大切な持ち物を長く守ることができます。