
引っ越しで大型家電のみ新居へ運びたい場合、自分で運ぼうと考える方もいるかもしれません。
専門の業者に依頼する方法もありますが、引っ越し業者のほか、家財宅配サービスや配送業者など多数のサービスがあるため、どこに依頼すればよいか悩む方もいるでしょう。
ここでは、大型家電のみ引っ越しを依頼した場合の費用相場から搬入の注意点、失敗しないためのコツをまとめました。引っ越しを予定している方はぜひ参考にしてみてください。
大型家電のみ引っ越しすることは可能?

結論として、大型家電のみの引っ越しを依頼することは可能です。大手の引っ越し業者では、大型家電や家具のみを対象とした専用プランを用意しているところもあります。
また、引っ越し業者以外にも以下のような選択肢があります。
- 引っ越し業者に依頼する
- 家財宅配サービスを利用する
- 一般の運送業者に依頼する
- トラックを用意して自分で運ぶ
それぞれに特徴やメリット・デメリットがあるため、自分の状況や運搬距離、予算、搬入出の難易度などをふまえて、最適な方法を選ぶことが大切です。
引っ越し業者に依頼する
大型家電の引っ越しを検討している場合は、引越しの専門業者に依頼するのが最も安心です。多くの引っ越し業者では、家電1点からの運搬にも対応しており、中には「大型家具・家電のみ」を対象とした専用プランを用意している会社もあります。
引っ越し業者のサービスを活用するメリットは以下の通りです。
- 専門スタッフによる丁寧な梱包・開梱作業
- 新居での設置や動作確認まで対応
- 万が一の破損時の保証が充実
サービスの品質が高い半面、他の方法と比較すると費用が高い傾向にあり、特に繁忙期(3〜4月)は料金が大幅に上昇します。
家財宅配サービスを利用する
引っ越し業者よりも安価に大型家電を運びたい場合は、家財宅配サービスの利用も一つの選択肢です。
個人でも利用できるサービスには、アートセッティングデリバリー(旧ヤマトホームコンビニエンス)、赤帽、デカ宅などがあります。
これらの家財宅配サービスでは、家電の種類ごとに料金が設定されているため、引っ越し業者に依頼する場合と比べてコストを抑えやすいのが特徴です。
ただし、利用にあたっては次のような注意点もあります。
- 個人での利用ができない、または法人向けに限定されている業者もある
- 対応できる家電のサイズや重量に制限があり、大型の機種は対象外となる場合がある
こうした点をふまえつつ、運びたい家電が少数で明確に決まっている場合には、家財宅配サービスの活用を検討してみてもよいでしょう。
運送業者に依頼する
ヤマト運輸や佐川急便などの大手運送業者でも、大型家電の配送に対応しています。
通常の宅配便では扱えないサイズでも、家財宅配便・大型貨物配送・チャーター便などの専用サービスを通じて対応できる場合があります。
こうした運送業者を利用して大型家電を運ぶ場合は、以下の点に注意が必要です。
- 玄関先での受け渡しが基本となる
- 梱包材は原則として自分で準備する必要がある
- 家電の設置や取り付け作業は別途依頼するか、自力で行う必要がある
これらのサービスは、費用を抑えたい方にとっては有力な選択肢ですが、たとえばヤマト運輸では玄関渡しのみとなるため、冷蔵庫や洗濯機などの設置には複数人での作業が必要になるでしょう。
トラックを用意して自分で運ぶ
最も費用を抑えられる方法としては、自分でトラックを用意して運搬する方法です。
たとえば軽トラックであれば6時間あたり5,000〜8,000円程度、24時間でも1万円前後でレンタル可能なケースが多く、他の方法と比較しても安価に引っ越しできるのが魅力です。
ただし、冷蔵庫や洗濯機などの大型家電は重量があるため、運搬時には十分な注意が必要です。けがや家電の破損につながるリスクもあるため、運搬ルートの確保や複数人での対応が重要になります。
そのため、体力に自信がある方や、作業を手伝ってくれる人がいる場合に適した選択肢といえるでしょう。
大型家電の引っ越しにかかる費用相場
大型家電の引っ越し費用は、建物の階数や運搬方法によって大きく異なります。金額はあくまで目安ですが、運搬方法ごとの費用相場を紹介します。
予算に合った最適な方法を選ぶための参考にしてください。
専門の引っ越し業者に依頼した場合
専門の引っ越し業者に大型家電の運搬を依頼すると、料金はやや高めになりますが、安全に運べることや手間がかからないことが大きなメリットです。
同一都道府県内の移動を想定した場合の費用相場は以下の通りです。
家電 | 相場 |
---|---|
冷蔵庫1台 | 15,000円~25,000円 |
冷蔵庫+洗濯機 | 20,000円~35,000円 |
引っ越しシーズンの3〜4月になると、料金は相場より2〜3割増しになることも珍しくありません。また、運搬する距離や建物の階数、エレベーターの有無などの条件によっても変わってきます。
一方、梱包材の提供から搬出・搬入、設置までを一貫して行ってくれるため、引っ越しの手間はかかりませんが、家電1〜2点だけの依頼だと割高になりがちです。
複数の家電をまとめて運ぶのであれば、1点あたりの単価は下がる傾向にあります。
家財宅配サービスに依頼した場合
家財宅配サービスは、引っ越し業者よりも安価で大型家電の引っ越しが可能です。
家電 | 相場 |
---|---|
冷蔵庫1台 | 8,000円〜10,000円 |
冷蔵庫+洗濯機 | 15,000円〜20,000円 |
家財宅配サービスは家具1点ごとに料金が設定されているため、数が少なければ引っ越し業者を利用するより費用を抑えられます。
ただし、玄関先での引き渡しというところも多く、室内への搬入・設置には別途料金がかかるため、注意しましょう。家財宅配サービスを上手に活用すれば、比較的低予算で大型家電の引っ越しが可能です。
大型家電を自分で運搬した場合
最も引っ越し費用を抑えられるのが、大型家電を自分で運搬する方法です。
トラックのサイズ | 相場 |
---|---|
軽トラック(6時間) | 5,000円~8,000円 |
軽トラック(24時間) | 8,000円~10,000円 |
2tトラック(6時間) | 10,000円~15,000円 |
上記の費用に加えて、ガソリン代や梱包材の費用が加算されますが、総額2万円前後で収まることが多いようです。
注意点として、家電の破損やけがによって想定以上の費用が発生するリスクがあります。こうした点も事前に理解しておきましょう。
大型家電の引っ越しで失敗しないためのコツ

大型家電の運搬を無事に済ませるためには、事前の準備と注意が欠かせません。最後に、引っ越し作業で失敗しないためのポイントを紹介します。
できるだけ丁寧に家電を梱包する
大型家電を自分で運ぶ場合や、業者に依頼しても梱包サービスが含まれていない場合は、しっかりと梱包を行うことが重要です。
傷や衝撃から家電を守るためのポイントは以下の通りです。
【家電別の梱包ポイント】
- 冷蔵庫:厚手の毛布で本体を覆い、ドアが開かないようテープで固定
- 洗濯機:ホースや電源コードをまとめて固定し、操作パネルを保護
- テレビ:画面を最優先で保護し、専用ボックスか厚手の段ボールで包む
特に角や突起部分は、運搬中にけがの原因となりやすいため、緩衝材を使ってしっかりと保護しましょう。丁寧な梱包は家電だけでなく、運搬中の壁や床も守ることにもつながります。
家電の搬出・搬入経路を確保する
大型家電の運搬で最も多いトラブルは、搬出・搬入経路の問題です。特に冷蔵庫のような大きな家電は、事前に経路を確認しておかないと運び出せないことがあります。
戸建て住宅の場合、「玄関の幅と高さ」や「廊下や階段の幅」を事前に確認しておいてください。一方で、マンションからの運搬や搬入は、「エレベーターの内寸」や「共用廊下の幅」を確認し、家電が通れるかどうかを事前に調べておきましょう。
事前に現地確認を行い、大型家電が通れるかどうかを測定しておくことで、当日のトラブルを避けることができます。
冷蔵庫と洗濯機は水抜きをしておく
冷蔵庫や洗濯機などの水を使用する家電は、運搬前の水抜き作業が必須です。作業を怠ると運搬中に水漏れを起こし、他の荷物を濡らしたり、冬場は凍結して故障する原因になったりします。
【冷蔵庫の水抜き手順】
- 冷蔵庫や冷凍庫の中身を全て取り出す
- 引っ越しの前日に電源を切る
- 製氷機の氷と水を完全に抜く
- 霜取りを行い、庫内の水分を拭き取る
- 扉を開けてしっかり乾燥させる
【洗濯機の水抜きポイント】
- 給水ホースと排水ホース内の水を完全に抜く
- 洗濯槽内は十分に乾燥させておく
引越し当日に水抜きをすると、十分に乾燥できないことがあります。スムーズに作業ができるように前日から準備をしておきましょう。
また、洗濯機は給水ホースのほかに排水ホースがあり、こちらも水抜きを行う必要があります。
大型家電を一時的に預けられるサービス

引っ越しをする際、「大型家電だけ一時的にどこかへ預けたい」と考える方は少なくありません。そんなときは、外部の一時預かりサービスを活用することで、スムーズな引っ越しが可能になります。
引っ越しのときでも利用しやすい外部サービスの一例を紹介します。
引っ越し業者の一時保管サービスを利用する
大手の引っ越し業者では、大型家電や家具を一定期間だけ預かってくれる「一時保管サービス」を用意しています。
たとえば、遠方から引っ越すため運搬に時間がかかる場合や新居に設置できないときなどに最適です。また、基本的には運搬から保管、再搬入まで一括して任せられるため、複数の業者に手配する必要もありません。
費用や保管環境は業者によって異なるため、大型家電が預けられるかどうか事前に確認しておきましょう。
家具預かりサービスを活用する
家具預かりサービスは、引っ越し業者や運送会社が大型家電や家具を一時的に保管してくれるサービスです。
スタッフが自宅まで大型家具を受け取りに来てくれるため、自分で運搬する必要はありません。温度や湿度管理、セキュリティ体制が整っているところが多く、デリケートな家電も安心して任せられます。
新居の準備が整ったタイミングや必要な時期に合わせて再配送を依頼できるため、安全に一時保管したい方に最適なサービスです。
トランクルームに大型家電を預ける
退去日と入居日にズレがある場合、大型家電の一時保管先としてトランクルームを活用する方法も有効です。トランクルームを活用することで日程調整の自由度が高まり、引っ越しを無理なく進められるでしょう。
トランクルームを活用するメリットは以下の通りです。
- 退去日と入居日の日程がズレても対応できる
- 大型家電など荷物の一時保管場所になる
- 引っ越し作業を分散できる
- 急な予定変更があっても柔軟に対応できる
大型家電を保管する場合は、温度や湿度が管理された屋内型のトランクルームを選ぶことがポイントです。高温多湿な環境では電子部品の劣化につながる可能性があります。
また、配送業者によってはトランクルームからの搬出・配送サービスも行っており、新居の準備が整ったタイミングで運んでもらうことも可能です。
事前に業者と相談してスケジュール調整をしておくと、トラブルなく引っ越しができるでしょう。