
北国以外では「バイクの冬眠」とは聞きなれない言葉ではないでしょうか。積雪の多い北海道や東北地方、北陸地方などでは、冬の間はバイクに乗るこができません。冬の間、長期的にバイクを保管することを「バイクの冬眠」と呼んでいます。
春になり冬眠が明けた時、気持ちよくバイクに乗るためにも、冬眠前の準備や保管方法について確認しておきましょう。
目次
バイクの冬眠準備
寒い季節が迫ってくると、バイクに乗る機会が減りがちです。そうはいってもまだ乗るかもしれない…と何の対策もせずにズルズルとバイクを放置しておくと、劣化や可動部の固着につながってしまいます。
冬眠前のバイクチェック

バイクを冬季に適切に保管するためには、冬眠前にバイクチェックを行うことが大切です。冬眠前のバイクチェックでは、以下の項目を確認してください。
エンジンと機械部品の動作確認
エンジンの始動イドリング、ブレーキ、クラッチなどの機械部品の動作をチェックしましょう。
点検とメンテナンス
オイルやフィルターの交換、ブレーキパッドやチェーンの調整、スパークプラグの清掃など、必要に応じて点検とメンテナンスを行います。
電気系統の確認
ヘッドライト、テールライト、ウィンカー、ブレーキランプなどの電気系統の動作をチェックし、必要に応じてバルブの交換や配線の修理を行います。
タイヤのチェック
タイヤの摩耗具合や空気圧を確認し、必要に応じて交換や調整を行います。
ガソリンを満タンにする
冬場は外気とガソリンタンク内の温度差が大きくなり、タンク内に空間があると結露が生じることがあります。結露によってタンク内が錆びてしまうと、ガソリンと混じってトラブルの原因となってしまいます。そのため、冬眠前にはガソリンを満タンにしておきます。
バッテリーを充電または外す
長期間バイクを使用しない場合は、バッテリーが放電する可能性があります。定期的に充電をするか、放電を減らすためにバッテリーのマイナス端子は外しておきましょう。
バイクチェックを丁寧に行い、必要な修理やメンテナンスを完了させることで、冬季のバイク保管中にトラブルが起きるリスクを低減できます。
必要なアイテムの準備

バイクを冬季に適切に保管するためには、必要なアイテムを準備することが重要です。以下に、バイクの冬眠に役立つアイテムをご紹介します。
バイクカバー
バイクを屋外に保管する場合は、防水性のあるバイクカバーを使用しましょう。これにより、雨風や雪からバイクを保護できます。
防湿剤
冬季は湿度が高くなりがちです。バイクの保管場所に湿気が溜まることを防ぐために、防湿剤を使用しましょう。
燃料添加剤
長期間バイクを使用しない場合、ガソリンが劣化する可能性があります。燃料添加剤は酸化防止や防腐剤としての役割があり、燃料の劣化を防ぎエンジンのトラブルを予防する効果があります。
メンテナンススタンド
冬眠中のバイクは長期間動かすことがありません。そのためタイヤの一部分にだけ負荷がかかり、タイヤが変形してしまう恐れがあります。メンテナンススタンドを使用して、タイヤを浮かせて保管することができればベストです。
これらのアイテムを準備することで、冬眠中でもバイクを適切に保管することができ、故障や劣化を最小限に抑えることができます。
冬眠期間中のメンテナンス

冬眠期間中は簡易的な点検を定期的に行い、錆びやパーツの劣化がないかを確認します。
その他にも、以下の点に注意しましょう。
バッテリーの充電
バッテリーが完全に放電してしまうのを防ぐため、外したバッテリーを定期的に充電します。
タイヤの接地面を変える
メンテナンススタンドを使用していない場合は、タイヤの接地面を定期的に変えて、一部分に負荷がかかり続けるのを防ぎます。
カバーを外す
雨風から守り劣化を防ぐバイクカバーですが、かけっぱなしで長期間放置しておくと湿気が籠ってしまう可能性があります。天気の良い日にはカバーを外し、陰干しをして風を通してあげると良いでしょう。
保管場所の選び方

バイクの保管場所は、バイクのコンディションを保つためにも重要です。考えられるバイクの保管場所について、それぞれメリット・デメリットを見ていきましょう。
自宅での保管
自宅に車庫や屋内に保管できるスペースがあれば保管場所としてはベストですが、自宅の屋外スペースであれば対策が必要となります。
メリット
- 屋内であれば雨風の影響を受けず、防犯面でも安心
- バイクの状態をすぐに確認することができる
デメリット
- 自宅内に十分な保管スペースを確保することが難しい
- 屋外であれば雨風や盗難の対策が必要になる
近隣駐車場での保管
50cc以下のバイクであれば自転車用の駐輪場にとめることができますが、50cc超のバイクは駐車場にとめる必要があります。
メリット
- 屋内や地下の駐車場であれば、雨風の影響を受けず防犯面でも安心
- 1台分のスペースが確保されているため、スペースに余裕をもって保管できる
デメリット
- 自宅近くの駐車場が借りられない場合がある
- 屋外であれば雨風や盗難の対策が必要になる
- 月額で費用が発生する
トランクルーム(コンテナ)での保管
バイク専用のコンテナ(バイクガレージ)や、一般的な荷物を保管する用のトランクルーム(コンテナ)でもバイクの保管が可能です。
メリット
- バイク専用のコンテナ(バイクガレージ)は、バイクを保管することを目的として作られているため、整備道具等も収納できる棚や、バイクスロープが付属している
- 専用の強化南京錠で施錠するため防犯面も安心
デメリット
- 数が少なく空きが見つけづらい
- 自宅近くのコンテナが借りられない場合がある
- 月額で費用が発生する
バイクショップの保管サービスを利用する
北国のバイクショップでは、冬の間バイクを保管してくれる冬季保管サービスを実施している場合があります。
メリット
- 屋内での保管となるため、雨風の影響を受けず、防犯面でも安心
- 保管前のメンテナンスや、保管中の点検も行ってくれる
デメリット
- 保管料金がかかる
- 預けている間は基本的に出し入れができない
冬眠明けの対応

バイクの冬眠期間が終わり再び使用する前には、いくつかの重要なチェック項目を確認する必要があります。以下に、冬眠後の必要なチェック項目について説明します。
冬眠後の必要なチェック項目
バッテリー状態の確認
長期間放置されたバッテリーは放電している可能性があります。バッテリーの電圧をチェックし、必要に応じて充電するか交換することを検討しましょう。
タイヤの空気圧チェック
長期間の保管により、タイヤの空気圧が低下している可能性があります。正しい空気圧を確認し、必要に応じて調整してください。
エンジンオイルとフィルターの点検
エンジンオイルとフィルターは定期的に交換する必要があります。保管中にオイルが劣化している可能性があるため、点検し、必要なら交換しましょう。
燃料系統のチェック
冬の間バイクに新鮮な燃料を補給していないため、燃料が劣化している可能性があります。燃料タンクと燃料フィルターを点検し、必要なら交換してください。
点火系統の確認
点火プラグや配線などの点火系統を点検し、接続が正常であることを確認しましょう。
これらのチェック項目を確実に実施することで、冬眠後のバイクの状態を正確に把握し、安全かつスムーズな再稼働を実現できます。バッテリーの充電や交換、タイヤの空気圧調整、エンジンオイルやフィルターの交換など、必要なメンテナンスを適切に行いましょう。
最後に
バイクの冬眠は、長期間の保管による損傷を防ぐために重要です。冬眠前にバイクを点検し、必要なメンテナンスを行いましょう。また、冬眠中はバッテリーの充電やタイヤの空気圧の管理が重要です。保管場所は自宅のガレージや倉庫が理想的であり、トランクルームも選択肢として考えられます。
適切な冬眠と保管は、バイクの寿命とパフォーマンスを保つために重要です。バイクを安全に保管し、再び快適なライディングを楽しむために、適切な対策を講じましょう。